眠れる安心感を得る為の、入院中の睡眠音楽の制作

■ 目標設定

 

・入院中の睡眠音楽を作成し、眠れる安心感を得られるようにする。

 

【問題点】

 ・入院中に眠れなくなる。

 ・眠れないため、睡眠薬を2種服用している。親の意向としては眠れる安心感が戻れば、薬はやめて欲しいが、本人は睡眠薬をやめるのが怖くて、やめられない状態。精神科医師の見解としては、本人が薬が効いていると思うことが大事なため、薬で眠れるなら無理にやめさせる必要はない。

 

【研究開始前時点での緩和策】

 ・寺田夫妻に毎晩メールをして安心感を得る

 ・睡眠薬2種類を飲んで、音楽をかけてもらって、ようやく眠れている。(ただし何度かは起きる)

 

 

その問題点をふまえ、入院中の睡眠音楽を作成し、眠れる安心感を得られるようにする。

 

■ 課題への取り組み

 

【ジャスミン(本人)からの要望】

・リラックスできる曲

・希望の長さ:1時間

 

【取り組み:音源作成】

ジャスミンの要望にあった音源をそれぞれつくり、要望に応え、改善しながら最終的に一つの音源をつくった。

 

詳細を下記に記す。

 

・(濱崎)個人的に好き & リラックスできる & 歌詞がない曲ということで

となりのトトロの「風の通り道」をリラックスできるようにアレンジして作成。

→2回ほど繰り返してほしいとの要望を受け、2回繰り返したバージョンに修正。

 

・(高橋)知っている曲だと気になって眠れないということでオルゴール音色のオリジナル曲を2曲作成。

 

・(高橋)知っている曲だと気になって眠れないということで、世代的にさほど知らないと思われる映画音楽を中心に、オルゴールの音色でメドレーを作成。曲目と曲順は次の通り。

サティ、80日間世界一周、エーデルワイス、遠き山に日は落ちて。

 

・(高橋)追加でディズニーの曲も足してほしいとの要望を受け、オルゴール音色のディズニーメドレーを作成。

メドレー構成曲と曲順は次の通り。ホールニューワールド、パートオブユアワールド、小さな世界、星に願いを、ララルー。

 

・(高橋)オルゴール以外の音色も対応可能なため、再度希望を聞いたところ、15分くらい波の音をゆったりひいてほしいとの依頼を受け、15分くらいの波音の音源を追加で作成。→音量が小さすぎたり、機械のノイズが入ることから録り直しも行なった。

 

⇒ここでできたすべての音源を岩本潤子さんが繋ぎ合わせ、音量バランスや音圧の調節・修正を行い、最終的に60分の音源にまとめた。曲順は次の通りである。

 

・波音

・風の通り道

・オルゴール(オリジナル曲①)

・ディズニーメドレー

・映画音楽等メドレー

・オルゴール(オリジナル曲②)

・波音

 

 

■ 結果(どう変化したか・新たに見つけた課題・難しかったこと)

 

⇒聴きながら眠れる日もあったが、やはり眠れない日もあったとのことで、高い確率で安心感を得、眠ることのできる音源制作までは至ることができなかった。

また、最初、音源を流す媒体を携帯電話にしていたことで、携帯電話がついていること自体がむしろ気になり眠れない1要因となってしまい、CDに焼き、音源を流してもらうことにした。

 

今回は専門家の意見を取り入れず、ジャスミンの要望に応え、音源を作成したが、機会があれば睡眠や音楽療法等の専門的な知識のある人の意見も取り入れながら構成、流れ、音色、演奏の仕方等も工夫して作成し、眠れる日の割合を少しでも増やしていけたらと思う。

 

また、キーボードのスペックの低さ等により、雑音や、波の音の人工的な感じがするなど、最高の音質とはいえなかった。また、音量のバランスも、ノイズが入る等の問題から難しかった。

いつか本当の波の音や、葉や風などの自然の音、鳥の鳴き声なども集めてそれを含めて1時間ほどの音源ができたらどんな効果が得られるかも試してみたい。

 

(報告者:高橋由衣子)

 

(親御さんの声)

 

■ 課題

 

⇒病児で、度重なる入院を繰り返す娘は、精神的不安から眠れなくなりました。

特に、入院になると眠れなくなる。

それが本人の恐怖となりました。

眠れないことに対し、看護師さんから「眠りなさい」と言われることが苦痛でストレスになりました。

自分の寿命への不安や、治療や入院の苦痛もありますが、それ以上に「入院=眠れない」。

それが、1番の恐怖であり、夜がくることが不安になりました。

睡眠薬を使っていますが、それでも眠れないと、苦しんでいます。

今回、研究の応募にあたっては、本人が、「眠れるようにしてほしい!」と強く希望した為、応募させていただきました。

 

 

■ 結果

 

ジャスミン

⇒やってみて、眠れる日もあれば眠れない日もありました。入院や睡眠への不安は強く、難しい部分はありましたが、リラックスは出来たといっておりますし、音楽を聴くことは楽しかったようで、大変感謝しております。

何よりも、一緒に眠れないことを考えてくださったことが、彼女にとってとても嬉しいことだったと思います。

ありがとうございました。


ゴールドマン・サックス緊急子ども支援基金(第2フェーズ)」助成です

期間 202011-20213

■ 研究メンバー

寺田真実、有永美奈子、岩本潤子、武田桃子、一色有希子、野村仁美、高橋由衣子

 

■ 内容

1,眠りを促す為の音楽パフォーマンス

2,お母さんの休息時間を作る為の、集中して見れる・聴ける・楽しめるパフォーマンス制作

3,眠れる安心感を得る為の、入院中の睡眠音楽の制作

4,自宅以外でリラックスできる為のプログラム作り

5,「私もなれる・できる!」喜びを知る為のパフォーマンス制作

6,自分の表現方法をみつける為のプログラム作り

7,「ごはんの時間が楽しい」と思える為のプログラム作り