眠りを促す為の音楽パフォーマンス


■ 目標設定

 

睡眠障害も抱える障がい児が眠れるようにしたい。

また、我が子が眠れる事で親御さんのストレスを減らす事につなげたい。

 

■ 課題への取り組み

 

歌の得意なメンバーで、子守歌となり得るスローテンポの曲の動画を撮影し、夜眠れない時に見てもらった。7曲ほど試した後、全ての曲を繋ぎ合わせ30分ほどの動画を作成した。

 

試していく過程で、本人の出す声が大きすぎて子守歌が耳に入らない、という日もあったため、逆にアップテンポの曲を集めた30分ほどの動画も作成。その合間で名前を呼びかけたり声をかけたりするなど、注意を惹きつけてから、落ち着いて子守歌を聴いてもらおうと考えた。

 

その後、子守歌動画もさらに曲を増やして60分ほどの物を作成した。

 

■ 結果(どう変化したか・新たに見つけた課題・難しかったこと)

 

「大声を出して眠れないという事がなかった」「いつもより継続的に眠れた」「動画を流すと大人しく静かになった」など、期待した効果が得られた。

 

一方で発作や気圧の変化などによりあまり効果が見られない日もあったため、アップテンポの動画を作り新しい挑戦もした。名前を呼ばれるとジーッと聞き入る様子が見られたり、好きな歌が始まると画面に釘付けになったり、発語のはっきりしない子どもながら返事しているように見えたり、親御さんに笑顔を向けるなど嬉しい反応も多く見られた。

 

難しかったのは、子どもが目を覚ます度に起きて動画を流す作業をしなくてはいけないという負担がある事、体調が良くない時こそ助けになりたいのに、そういう時にはあまり効果が発揮できない事、があると感じた。

親御さんからは、「安心感が生まれて心の支えになっている」という言葉もいただいた。これからも心を寄せ続けていきたい。

 

(報告者:岩本潤子)

 

(親御さんの声)

 

■課題

 

産まれてNICUから退院して家で過ごすようになってから、睡眠時間が短く、夜は最高で4時間が限界の状態で、完全に昼夜逆転したり、思春期に入ってからはホルモンバランスの崩れからか、夜中の睡眠時間が単発でちょこちょこ目覚めて大声を出す事がほぼ毎日になりました。 一睡もせず、夜中騒ぎ続けて朝を迎える日もあったり、睡眠不足は本人も辛いと思いますが、夜中に大声を出し続けられると私自身もメンタルをやられてしまい、自分を見失ってしまう事もあるので、穏やかに眠ってくれる日が少しでも増えたらと思い申し込みさせていただきました。 この研究で本人の睡眠について何かきっかけがつかめたり、自分自身の精神的苦痛を和らげる事ができたらと思いました。

 

■結果

 

起きた変化として、これまでは体をトントンしたりおでこや体をさすったりしても、大声を出したり触ることを嫌がったりして体を動かし興奮してなかなか眠りにつかなかったのですが、皆さんの歌の画像を流す事で画面に目を向けて大声が止まり興奮状態がおさまりました。

 

歌を聴いている状態で体をトントンしたりさすったりしても穏やかな様子で、ウトウトしたりそのまま眠りに入る事が多く見られました。

 

歌が流れている間は眠っている姿ががみられましたが、歌が終わると目覚める…という様子から、様々な歌を組み合わせて長いバージョンを作っていただき、それによってやはりその分睡眠も長くなりました。

 

気候や気圧の変化の影響やてんかん発作や、薬の影響でうまくいかない日もありましたが、私自身は、この歌があれば大丈夫という安心感を感じられ皆さんの歌が心の支えとなり精神状態の不安定さはなくなりました。

 

新たな課題としては歌を流しっぱなしな状態であればどうなるかということですが、まだ試せていません。

 

途中で目覚めて騒いだ時に、私自身が眠気に勝てない日もあり、そんな時はiPad操作がうまくいかなかったり歌を流す事が出来なかった事がありました。


ゴールドマン・サックス緊急子ども支援基金(第2フェーズ)」助成です

期間 202011-20213

■ 研究メンバー

寺田真実、有永美奈子、岩本潤子、武田桃子、一色有希子、野村仁美、高橋由衣子

 

■ 内容

1,眠りを促す為の音楽パフォーマンス

2,お母さんの休息時間を作る為の、集中して見れる・聴ける・楽しめるパフォーマンス制作

3,眠れる安心感を得る為の、入院中の睡眠音楽の制作

4,自宅以外でリラックスできる為のプログラム作り

5,「私もなれる・できる!」喜びを知る為のパフォーマンス制作

6,自分の表現方法をみつける為のプログラム作り

7,「ごはんの時間が楽しい」と思える為のプログラム作り